白い丘の上の物語

目次
  1. なかよし兄弟の秘密
  2. ひごのお守りの謎
  3. 島原へ向かう
  4. 白い丘の上での約束
  5. 分かれと再会への思い

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なかよし兄妹の秘密

むかしむかし、本戸(天草本渡)のある庄屋の家に仲のいい兄妹がいました。

少しやんちゃな妹が、真面目で働きものの兄へよくちょっかい出しては喧嘩になり、両親におこられていました。

両親はいつも兄の方を一方的にしかりつけるので、妹はそれを承知で、またちょっかいを出してくるので、

兄は「何故俺だけが・・」

という気持ちになっていたが、周りから「喧嘩するほど仲がいいよ、

顔もそっくりだよ」と言われていたので、それ以上気にしないことにした。

二人が元服や髪上げとなる頃、両親から、かしこまった様子で話があるといわれて帳場に行くと、もう両親は正座していて、前に座るよう促された。脇にはお守りの様なものが置いてあった。

父親が「やはり、いつかは二人には真実を話しておいた方がいいと思っていた・・・」と話しを切り出し、

「事情を知る人も少なくなってきたが・・・、せまいところなのでもう耳に入っているかもしれないが。」

と前置きして、兄に向かい、

「実はお前のことだが、もう10数年前になるが、嵐の夜に湯島近くで母子が乗った船が遭難したことがあって、近くにいた漁船が救助したが、男の子は何とか助けられたものの、母は既に息絶えていたそうだ。漁船はその後本戸に戻り、うちの家にその男の子を預けていった。」

と話し、

「そのときに男の子はお守りを下げていて、これがそのお守りだ・・」

兄は話を聞いている間にも随分動揺し、

これまでは心無い噂程度と考えていたことが事実と分かり、黙り込んでしまった。

両親は兄の様子で話したことへの多少の後悔の念もあったが、これまでの胸につかえていたものがなくなったという安堵した気持ちになっていた。

「だが今までどおり、分け隔てなく・・これからも、お前は今まで通りうちの息子だ・・・。」と続けた。

この話を終わったあと、兄は極端に口数が少なくなり、物思いに耽ることが多くなった。

そういえば近所の長老が、

「いつもふたりはそっくり、仲が良くていいね~」

と言っていたことも、実はそうだったのか。

兄はもう妹のちょっかいに反応して喧嘩することも無くなり、お互いに何となくよそよそしくなっていった。

それから、半年ほど過ぎても兄の様子はあまり変わることが無く、・・・

両親は兄を呼んで、

改めて、「お前はうちの息子だ、もうあの話は忘れろ・・・」と告げると、

兄は下を向いたまま

「実は、・・・お願いがあります。」と、訥々と話し始めた。

         (以下次号)Coming Soon...